底堅い米国経済を背景に株式市場の足場は強固

サンディ・サンダース
シニア・ポートフォリオ・マネージャー
米国コア・バリュー株式チーム

ジョナサン・ホワイト
シニア・ポートフォリオ・マネージャー
米国コア・バリュー株式チーム

高金利環境下での米国経済の底堅さは、年内を通じて株式の持続的な追い風になると思われます。マニュライフ・インベストメント・マネジメントは、堅調で持続可能な個人消費や、健全な銀行システム、住宅市場の好調なトレンドを背景に、最も魅力的な投資機会を見出せる業種で銘柄選択のアイデアを探ります。年後半に利下げが行われる可能性を踏まえれば、こうしたそれぞれの好材料は一段と顕著になっていくと思われます。

2022年3月から始まった米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な利上げを経て、私たちは引き続き景気悪化の兆候に警戒しながらも、経済はハード・ランディングによるリセッション(景気後退)を避けられるとの見方を維持しており、2024年初頭のデータもこの見方を裏付けています。今や、数カ月後には緩やかな利下げが始まる可能性が高いと見られ、FRBはインフレ率を下方基調に導きながらソフト・ランディングを可能にすることに成功したように思われます。景気減速に陥ったとしても底は浅く、短期間で終了する可能性が高いと私たちは見ています。ここ数カ月間の小売支出は底堅く推移しており、消費者がFRBの利上げに伴う借入コストの上昇にうまく適応したことを示しています。企業も金利の上昇に適応したように見え、また労働市場は雇用の伸びが市場予想を上回るなど堅調さを維持しています。

私たちは、底堅い消費支出、安定した金利、企業景況感の回復を追い風に、経済は年内を通じて全体的に上昇基調をたどると予想しています。こうした中、地政学的リスクの上昇や、米国を含むいくつかの主要国で重要な選挙が予定されていることを背景に、2024年には経済を取り巻く不透明感が高まり、市場のボラティリティが上昇する場面もあると見られます。

2024年を通じて注目すべき主な業種

こうした環境には課題もあるものの、ボトムアップに基づいてミスプライシングなどの投資機会を模索するアクティブ運用のマネージャーには非常に適した環境だと思われます。このような状況下では、バリュエーションに対する規律あるアプローチが非常に重要になる可能性があり、私たちは今年の収益トレンドに留意しながら、主として豊富な投資機会があると思われる以下の主要業種に注目していきます。

・住宅建設会社:高水準の住宅ローン金利が住宅建設会社の販売件数や受注件数に及ぼしてきた悪影響を考慮すれば、この市場セグメントは比較的堅調さを保っていると言えます。住宅ローン金利は2023年10月~11月にピークをつけた後、利下げ予想を受けて低下しており、様子見を続けていた住宅購入希望者が購入に踏み切る可能性があります。住宅建設会社に関しては、手頃な価格の住宅が不足している多くの地域市場で特に大きく成長する可能性があると見ています。こうした市場の多くでは、住宅の供給拡大が強く求められています。私たちは、事業のファンダメンタルズが堅調ないくつかの住宅建設会社を見極めています。それらは、過去1~2年間にインフレ率と金利の上昇の影響を受けながらも、長期にわたり安定して収益を伸ばしている企業や、新築住宅の受注残が底堅く推移している企業などです。こうした銘柄の一部は足元で割安な水準で取引されており、他の強みも考え合わせると投資の安全域があると言えます。

住宅ローン金利は利下げ予想を受けて2023年後半に低下に転じた
2020年1月~2024年1月の30年住宅ローン固定金利平均と実効FF金利

出所:FRB、連邦住宅貸付抵当公社、2024年2月。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
 

・銀行:銀行業界の潜在成長力も、今後予想される金利の低下基調と、それに伴う住宅ローン貸出へのプラスの影響と結び付いています。2023年前半には高金利などを背景に流動性の収縮が発生し、少数の銀行が破綻したとは言え、そうした業績の悪化はニッチ市場で事業を営む少数の地方銀行に限定されていました。FRBが実施した最新の年次ストレス・テストの結果からも分かるように、銀行は全体的に見て十分な自己資本を維持しています。例えば2023年にストレス・テストの対象となった全23行のテスト結果は前年よりも改善しており、各銀行は景気後退に陥った場合でも引き続き最低自己資本要件を満たすことができる見込みです。私たちは、銀行業界全体の健全性は世界金融危機が生じた約15年前の状況から大幅に改善したと見ています。米国の規制当局がストレス・テストを義務づけるきっかけとなった世界金融危機は、銀行の自己資本不足や住宅市場の過熱、過剰な消費者債務をはじめとする幅広い要因が引き金となりました。私たちの投資の観点では、今日の銀行業界の中でも、投資銀行業務から収益を得ていて資本市場の影響を受けやすい金融機関に主に焦点を当てています。ここ1~2年間にわたり低調だった新規株式公開(IPO)や二次売出、債券発行が増加する見通しであることから、私たちは現在、このセグメントには大きな成長の余地があると考えています。

・eコマース:グロース投資においては、一部のeコマース企業が妥当なバリュエーションと大きな潜在成長力という要因を兼ね備えていて魅力的に見えます。米国の小売支出全体の約70%を占める中流層の財務健全性が足元で改善していることが、このセグメントの追い風の一つとなるでしょう1。2023年前半以降は賃金の伸び率がインフレ率を上回っており、また今年後半には利下げが行われる可能性が高いことから、eコマース企業は裁量的支出の拡大から利益を得やすいと思われます。

リスクはあるものの、米国の消費者の見通しは引き続き改善

足元で消費者債務が増加していることを含め、米国経済にも課題はあります。しかし、ほとんどの米国人の財務状態は近年全体的に改善してきたため、消費者の債務負担は対処可能な水準にあると私たちは考えています。例えば、FRBによる2023年10月の調査では、米国の実質家計純資産の中央値が2019年から2022年の間に37%も増加したことが分かりました。この間、クレジットカード債務を抱える世帯の割合は45%前後でほぼ安定しており、クレジットカード債務残高は減少しています。また足元の家計部門の可処分所得に対する債務返済負担比率は、コロナ禍における景気浮揚を目的とした政府給付金が消費者を支えていた2020年~2021年の史上最低水準から最近やや上昇したとは言え、1980年以来の最低水準近辺に留まっています。

消費者の債務返済負担は過去数十年の最低水準近辺に留まっている
1980年1月~2023年6月の家計部門の可処分所得に対する債務返済負担比率

出所:FRB、2024年1月。上記のリセッション期間は全米経済研究所の定義に基づいています。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

2024年を通じて収益の伸びが加速する可能性があることから、私たちは上記3分野や他の市場セグメントのバリュエーションは今後より魅力的になる可能性があると考えています。こうした環境下において、私たちは個別銘柄レベルで豊富な投資機会を見出しており、それはバリュー銘柄や厳選されたグロース銘柄など、多様なスタイルの株式投資にわたっています。

今後に関しては、私たちは足元の消費者の財務健全性、雇用市場の好調さ、記録的な水準まで積み上がった現金ポジション、企業の堅調な収益性とバランスシート、大規模な繰延需要と設備投資計画を明るい材料と考えています。私たちは、規律を維持しながらボトムアップに基づく銘柄選択に注力するよう努めると同時に、財務が健全で、競争上の優位性があり、長期にわたって多くのキャッシュフローを創出可能であり、推定企業価値と比較して株価が魅力的な企業に特に注目していきます。

  1. エンピリカル・リサーチ・パートナーズLLC、2024年

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